病院経営ウェブマガジン“Healthcare Compass (ヘルスケア・コンパス)”

Healthcare Compass (ヘルスケア・コンパス)。病院経営ウェブマガジン。病院経営の中でも急性期病院の経営・運営に携わる人のためのメディアです。

Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

IT業界で働いて見えた違和感:東洋経済「病院が消える」特集

Kindleより紙の書籍がどうしても好きな小迫です。

今までも幾度となくKindleを試してきたのですが、紙の書籍のほうが読了率が高いです。実際のモノがあることで「読もう」という認識をしやすいからだと、わたしは思っています。

その背景には、あまり本を読まないほうだったので、お風呂で読書をする習慣を身に着けたのですが、iPadを持って入浴できないという事象も隠れています。

※Kindleとは

Amazon.comが製造・販売する電子ブックリーダー端末、同ソフトウェアおよび電子書籍関連サービスである。専用端末やパソコン、スマートフォン、タブレットなどで電子書籍を読める。

(参照:Amazon Kindle - Wikipedia

 さて、そんなわたしが、初めて「これぞ、Kindleに持って来いの書籍」と思えたものがあります。

それは、経済雑誌。三大経済誌の東洋経済、ダイヤモンド、日経ビジネスです。

2019年2月9日発売の、週刊東洋経済の2019年2/9号の「病院が消える」特集。その特集を知ったのは、2月16日で「今から書店に行くのは、、、きついなぁ」とAmazonを開いたところ、Kindleで買えることを発見。
初めて雑誌をKindleで買いましたが、その場で読めてKindle上に保存もできる。そして、処分にも困らない。まさにKindleで読むにふさわしいと感じました。


https://amzn.to/2SYi5Sy

今回は、そんな週刊東洋経済の「病院が消える」特集についてと、それを読んで抱いた違和感について書いていきます。

 

必読!週刊東洋経済の「病院か消える」特集

まず、言いたいのは、この特集は絶対買うべき!ということ。

今後3年位はプレゼンなどで使い回せる数値や見解が掲載されています。

 

まずは、赤字経営の原因について

特集の一番初めに組まれていたのは、なぜ日本の病院経営に赤字が多いのかという記事。

簡潔に、病院経営の5重苦としてまとめています。

  1. 医師不足と人件費増
  2. 消費増税のコスト化
  3. 診療報酬が伸びず収益力低下
  4. マネジメントの不在
  5. 患者減少で競争激化

 

続いて、財務状況のランキング

黒字病院・赤字病院と銘打って、医療法人、国立大学附属病院、自治体病院をそれぞれ売上高、営業利益、自己資本比率の軸でまとめています。

医療法人は、病院経営に関わっている人であれば納得の名前が続いてますが、国立大学附属病院と自治体病院の財務状況は認識したことない方も多いはず。

地元の大きな病院の名前が必ず掲載されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか?

 

細かい事例の中での、日本病院会の相澤会長の話

赤字経営の原因や財務状況のランキングのあとの記事は、それらにまつわる細かい事例や教訓。

その中で注目すべきは、日本病院会の相澤会長の話。

簡単にまとめると

  • 今後日本は、人口減少によって生産年齢層の患者が減り、70歳以上の患者が増える。
  • そのとき求められるのは、高度医療ではなく長期療養の医療(割合の変化が必要)。
  • 役割分担を見直すことで、8000以上ある病院が半分の4000程度で済むように。

医師の偏在や人口オーナスが叫ばれる現在、日本病院会の会長がしっかり経済誌で正論をメッセージングすることに、わたしは好感をもてました。 

 

「病院か消える」特集の簡単なまとめは以上です。


https://amzn.to/2SYi5Sy

✄--- 

東洋経済「病院が消える」特集を読んで抱いた違和感

この週刊東洋経済2019年2/9号、もう一つの目玉特集があります。
それは、サイバーエージェント社長藤田晋氏の、Abema TVに関するインタビュー

わたしは、築地の総合病院で事務総合職として働いたあと、IT企業に転職し、今もそこで働いています。
IT企業で働く傍ら、複業として本ブログメディア“Healthcare Compass”の運営もしています。 
そんなわたしにとっては、サイバーエージェントはとても身近な会社です。取引もありますし、同僚の転職先としても転職元としてもよく名が挙がる企業です。競合サービスもあります。

業界として身近な存在の会社の社長(社長の存在は程遠い・・・)のAbema TVについてのインタビュー。

以下、抜粋。

ーこれまでの累計赤字額は500億を軽く超えます。

1000億くらい赤字を出すことを想定しています。

(中略)

ー2〜3年で結果が出る、という事業でないということを株主に納得させる必要がある、と。

もちろん、そのくらい短期間でやれたらいいんですけど。例えば東京ディズニーリゾートのようなアミューズメント施設の経営を考えてみてください。新しい施設を造る段階ではずっと費用が先行する。そして開園後しばらくしてようやく利益に貢献する。基本的にはこれと同じだと思います。

 

抱いた違和感:病院特集とのギャップ

業界も違えば、ビジネスモデルも違う、病院とサイバーエージェント。雑誌としての切り取り方も違うのはわかります。

ただ、サイバーエージェントは明らかに事業創造をしています。利益を出して、次の事業に投資をして、ユーザー(利用者)に新しい価値を提供し続ける
株式市場に説明しながら、もちろん社員にも説明をして、社外にも説明をして人を集めて、事業をする。そのために1000億円は赤字を出す。

病院だって、、、新しい診療・治療を提供して、患者に新しい価値を提供し続ける必要があります。
でも、読み手の関心は、病院は赤字経営で古い構造の産業であることとそれに対する危機感。人口が減っていく中で、このままじゃやばいよ!と不安を煽るホラーストーリーの方が、雑誌が売れる。

雑誌がより売れるように、出版社はうまく病院業界の事実を切り取っている。確かに、病院業界全体として、新しい価値を作りに行く動きは鈍い。
周りのスタートアップ界隈はHealthtechとして注目を集め、活気があるように見えるが、患者の最終的な接点となる病院・クリニックが産業全体を動かそうとする動きはまだ見えてきてないのが現状です。 

いや、業界全体を変えようとする動きでなくていいので、先進的な業界(IT業界や自動車産業)で当たり前とされるものを導入してもいいはずです。

「病院が消える」特集記事の「営業利益」の部分を見て分かる通り、働き方を改善できるIT投資は、3−4割の病院で可能です。

例えば、いますぐにでもやるべきIT投資をまとめているのが、医療AIスタートアップ役員である田中大地氏(田中大地 / アジヘル@Aillis(医療AIスタートアップ) (@healthcareITSG) | Twitter)。

f:id:massy535:20190218003532p:plain
(参照:2019年「医療×IT」の2大潮流、ヘルスケアビジネスの新たなブルーオーシャンとは |ビジネス+IT

田中氏が示すとおり、一般企業と医療機関のITの差は歴然。
その積み重ねの結果が東洋経済の記事ではないでしょうか?雑誌を通して見えたのは、産業全体が沈みゆくものとして捉えられていることでした。
 

憂いてないで、どうするか?

違和感を抱いて、投げかけるだけで終わるわけにはいきません。

わたしの医療機関への期待は

  • 一般企業と同様のスタンダードに、働き方を変えていくこと
  • ゆくゆくは、他業界・他企業を引っ張る存在になること

です。命と隣り合わせで働く方々との勤務経験から、それが可能だとわたしは信じています。

そのためにも、このヘルスケア・コンパスを通じて、病院経営に関わる方々に気軽に「仕事のヒントや事例、モチベーションのあがるような記事」を発信していきます。

わたしがこのブログという手段で、病院経営に関わっているのには理由があります。

  • 現在の医療機関での仕事は、同業界からも、他業界からも見えにくい
  • 可視化するためには、課題や解決策を言語化して広めるメディアが求められている
  • 医療のニュースの流れをポジティブに変えていくメディアがあまりない

これらを解決するために、このヘルスケア・コンパスも近々アップデートを予定しています。病院経営に関わる個々人以外にも、業界全体向けに向けた課題提起、解決策の提言を行っていく予定です。

 

さいごに

簡単に雑誌の感想を書こうかなぁと思って、書き始めたら、やけに気合いの入った記事になってしまいました。

後半の違和感は想い先行の文章ですが。。。続けることで、言ってることとやってることが近づくことを信じています。

 

そして、まだ、週刊東洋経済の2019年2/9号の「病院か消える」特集を購入していない方!いますぐ、Kindleでダウンロードを!


https://amzn.to/2SYi5Sy

  

“Healthcare Compass”では、まとめ記事や限定記事をメールで配信しています。