こんにちは、Healthcare Compassのコサコです。
ひとつ短いエッセイを書きます。
コロナ禍で、医療機関で働く多くのマネジャーが困っていることがあると思います。
それは
状況の変わるスピードが早すぎる
ということです。
2020年1月、一般的な認識では新型コロナウイルスは武漢で発見されたもので、チャーター便の人たちは大変そうだ、というような自分とは関係のない認識が強かったかと思います。
横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号でも、罹患した乗客がいて、下船に苦労したニュースを覚えている方も多いと思います。
その後、第1回の緊急事態宣言が各都道府県で発令され、以下のことに悩まされたと思います。
- どの範囲で医療機関の運営を続けるのか
- 院内に新型コロナウイルス患者が出たらどうするのか
- 休業にして、政府からの給付金を待ちたいが、全容が見えない
その後も
- PCR検査体制は?
- 入院前の検査はどうする?
- 発熱外来をどうするか?
- 新型コロナワクチンをやるのか?
- 一般接種は?職域接種は?
医療業界だけではないと思いますが、自分のことで振り返っただけでもテンヤワンヤな毎日でしたし、その状況は今も続いています。
さて、冒頭の”状況の変わるスピードが早すぎる”場合に心がけていることがあります。
それは、条件付きで意思決定をしていくことです。
「条件付き意思決定」という言葉をGoogleで探してみましたが、見当たらず。。。
該当する良い言葉がないのですが、私が言いたいのは以下のようなことです。
- X月Y日までに、緊急事態宣言が出なかったら、M部門については営業は継続する。
- N部門とL部門は、今から短縮業務とする。
- Y日のあと、緊急事態宣言が出た場合、すぐにN部門とL部門は業務を停止する。M部門は、NとLの状況を見ながら、短縮営業に切り替える。
という「〜の場合は、〜する」ということを決めることを条件付き意思決定をここでは読んでいます。
医療機関では、通常シフト制が敷かれていて、急激なリソース配分の変化を起こしにくい組織構造をしています。
そのとき、緊急の事象が起こることが予想されるが明確な日程が読めない場合、「〜の場合は、〜する」としておけば、現場も安心して、その事業が来るまでは通常業務に当たることができます。
意思決定しなければならない条件を洗い出し、事前に意思決定を重ねておくことで、組織の迅速性を増し、柔軟性を高めると考えます。
逆に、条件付き意思決定をしないまま、「そのときになったら決めましょう」「その事象が起きたら緊急ミーティングを開きましょう」では、状況把握から意思決定、その後のアクションまでが出遅れ可能性が非常に高いです。
条件付き意思決定をしていれば、まずは現場がアクションを起こすことができ、アクションから起きた問題を情報収集でき、意思決定とその後のアクションが可能になります。つまり、条件付き意思決定をしていれば、事象が起きたときにPDCAを1周回した状態で、スタートできる強みがあります。
新型コロナウイルスの対応をして1年以上が経過しました。ふとこの1年の業務を振り返って、うまくいったこといかなかったことを考えてみると、条件付き意思決定がひとつの分かれ目だったと思い、筆を取りました。
今後も気づきがあれば、懲りずに文章にしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
--筆者--
小迫 正実 (こさこ まさみ)
高校生で訪れたフィリピンのスラム街での体験から、人の命に関わる分野から経済を動かし、世界を変えたいというビジョンを抱く。
2012年慶應義塾大学卒業後、聖路加国際病院で医療の質を司るQIセンターの立ち上げに従事。分析業務から、データ×ITに課題解決の糸口を感じ2014年にヤフーに転職。広告データ事業に関わる。並行して一般社団法人Healthcare Opsを2017年に設立。2018年には公衆衛生修士をリバプール大学のオンラインコースで取得。2019年よりグループ病院経営企画部に転職し、病院のデジタルトランスフォーメーションに従事。