病院経営ウェブマガジン“Healthcare Compass (ヘルスケア・コンパス)”

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Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

病院で決裁書を書くときに意識している4つのポイント

コサコです(私以外の方が記事を書くこともあるので、はじめに言うことにしています)。

医療機関で、企画職やプロジェクトマネジメント職についていると、避けて通れないことがあります。それは、決裁書(もしくは、稟議書)です。

新しく立ち上げる新規事業のプロジェクト、導入しなければならないシステムや外部サービス、外部業者が関わる際の契約書、何かを始めるときには必ず必要なのが、決裁書(稟議書)です。

医療機関は、自身のリソース(人材や技術、時間)だけで新しいことを始めることは難しく、常にパートナーと一緒に仕事をすすめることが多いのが現状です。

この商習慣によって、to B(というか、to Hospital)向けのビジネスは成立し、パートナー側(ベンダーや業者と言われます)が病院に営業提案を持ってくることが多々あります(病院に限った話ではないですが)。

営業提案を受けるからには、1社だけで話を進めることは少なく、相見積もりを取り、提案内容を比較して、なぜその会社と一緒に仕事をするのかを決裁書に書く必要があります。

私も過去の仕事を振り返って、多くの外部のパートナーの方を仕事をして、失敗も成功も経験しました。成功した要因を考えると、外部パートナーと仕事をするには、決裁書と紐づく4つのポイントがあるということに気づきました。

 

院内決裁書を書くときに意識する4つのポイント

私が決裁書を書くときに意識するのは、以下の4つのポイントです。

  • 売上が上がるか?/患者が増えるか?
  • 費用が下がるか?
  • 効率化するか?
  • 質が上がるか?

この4つのポイントに、実際は

  • 短期
  • 長期

の視点をかけ合わせて、企画を練り、決裁書を書き、決裁が下りたあとのプロジェクトを進めるようにしています。

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実際、効率化と質の視点では、短期的にそれらの視点が改善されたあと、長期的に売上や増患(もしくは患者離反防止)に効くのかコストダウンに効くのかを意識しています。

③=>③'の例

効率化したあとに、売上を上げる例で考えてみると、RPAの導入が挙げられるでしょう。
RPAの導入によって、電話予約をしていた部署の裏側の処理が自動化され、結果的に予約を取れる人が1人増え、1日に受電できる数をあげられる、ということが考えられます。

④=>④'の例

効率化後に、費用を下げる例でいうと、WEB会議システムの導入が、昨今のコロナ禍では注目されるかもしれません。

新型コロナウイルスが流行っている状態では、会議の効率を落とさないためにもWEB会議システムが必要でしたが、ワクチンが普及して新型コロナウイルスが落ち着いたときに、外部とのミーティングを可能な限りWEB化して出張を抑えることで、組織全体の出張費が抑えられる、というストーリーを考えることもできます。

⑤=>⑤'の例

質を上げてから、増患を図る例では、オンライン診療システム(例えば、LINEドクター)の導入が上がられます。

実際、世の中で騒がれているほど、オンライン診療は医療機関にとっては嬉しいものではなく、診療報酬の関係で実際に来院していただいたほうが売上的にはハッピーです。

しかし、感染のリスクを冒してまで来院する必要もないけど、患者の離反を防ぎたい・満足度は下げたくないという短期的な理由でオンライン診療システムを導入し、長期的に患者との関係を担保したいという考えもあり得るでしょう。

 

4つのポイントに収まらないことも

もちろん、以下の4つのポイントで議論できない決裁書もあります。

  • 売上が上がるか?/患者が増えるか?
  • 費用が下がるか?
  • 効率化するか?
  • 質が上がるか?

そういう事項についても、この4つのポイントに収まらないプロジェクトだったと理解して、仕事を進めるのも大切だと私は考えています。

 

WEB会議を進めるにあたって

新型コロナウイルスの影響で、病院でWEB会議で行われることも増えてきました。

今までの対面の会議では「雰囲気によるプレゼン」や「信頼できそうだから、提案に乗ってみよう」、「長い付き合いだから」という、お互いがお互いをおもんぱかる部分が多く存在しました。

しかし、昨今のWEB会議では、議題や目的がはっきりさせる必要があり、その議題は病院にどういう価値を提供して、病院のどの部分に効果的かをはっきり伝える必要が以前より増していると感じます。

会議で説明した内容を、最終的には決裁承認いただくことも考えると、WEB会議の場でも、自分の担当している案件やプロジェクトが、どのポイントに寄与しているかを明確にして、関係者と仕事を進める必要性が高まっています。

 

最後に

日々、確認のために電話がなり、メールの数も1日あたり100通を超え、「業務」をこなすのに必死になっていると、自分の仕事や案件が、何の目的のために存在しているのか、を忘れがちです。

ただ目的を考えてみると、多くの仕事は以下の4つのポイントに繋がっていると思います。

  • 売上が上がるか?/患者が増えるか?
  • 費用が下がるか?
  • 効率化するか?
  • 質が上がるか?

日々の業務に落とし込む前の決裁書の時点なら、これらを明確にするのは尚更です。

2021年、仕事を始めるにあたって、仕事で大切にしている考え方を改めて言語化して見ました。日々精進していきましょう!

 

--筆者--
小迫 正実 (こさこ まさみ)
高校生で訪れたフィリピンのスラム街での体験から、人の命に関わる分野から経済を動かし、世界を変えたいというビジョンを抱く。
2012年慶應義塾大学卒業後、聖路加国際病院で医療の質を司るQIセンターの立ち上げに従事。分析業務から、データ×ITに課題解決の糸口を感じ2014年にヤフーに転職。広告データ事業に関わる。並行して一般社団法人Healthcare Opsを2017年に設立。2018年には公衆衛生修士をリバプール大学のオンラインコースで取得。2019年よりグループ病院経営企画部に転職し、病院のデジタルトランスフォーメーションに従事。