病院経営ウェブマガジン“Healthcare Compass (ヘルスケア・コンパス)”

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Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

病院経営を目指す人へ

年末に自分のキャリアの選択を振り返ってみました。

私の病院経営のキャリアは、品質管理に関わるプロジェクトマネジメント、オペレーション改善、ホームページを中心とするインターネット経由の集客、ITを用いた患者体験向上です。

事業サイドというか現場にどっぷり入りつつも、病院で働くキャリアとしてはちょっと道を外している感もあります。医事課や物品管理、施設基準に関わる総務課などを経験していません。いわゆる"企画"をメインとする仕事が中心です。

上記のツイートに対して、先輩からこんな意見をいただきました。

 ここでいう地味な仕事というのは、私の解釈では、

  • 医事課での日々の受付・会計・レセプト
  • 物品管理課での診療材料の発注・在庫管理・医療機器の購買
  • 総務課での施設基準に対する書類の作成や基準を満たすための実務

だと思っています。

上記の仕事は、病院の収入と費用を司る最も重要な部分であり、逆にこの「地味な仕事」さえしっかりしておけば、ある程度医療機関は利益が出しやすい体質になるでしょう。

反面、私が歩んできたキャリアは病院経営的には亜流でして、身につけたスキルとして

  • プロジェクトマネジメント
  • IT・インターネットの事業戦略・企画・要件・対外交渉
  • 外国の企業や組織との交渉・事業の推進
  • 調査・報告・プレゼンテーション

です。自分のスキルを振り返ると足りないのはファイナンスの知識だなぁと思いつつ、上記を考慮して振り返ると、

コンサル->MBA->PE

というキャリアを歩んでも良かったのかなぁと思ったのでした。それが冒頭のツイートの意図です。

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前置きが長くなりましたが、病院経営を目指すとき、いまどのような選択肢があるのかを2020年の年が明けたのを気に考えてみました。

私が考えた選択肢は4つ。

  1. 病院に雇用されて働く
  2. 病院を複数持つ法人の本部で働く
  3. コンサルティング会社で病院経営に関わる
  4. ファンドとして病院経営に関わる

 

1. 病院に雇用されて働く

病院経営を聞いて、全国津々浦々どこでも働ける可能性があるのが、病院(医療機関)に直接雇用されて働くことでしょう。

求人として一般的な医療事務と区別して病院経営の仕事を探す場合は、「病院 総合職」で検索することをおすすめします。

例をあげますと、

北九州にある小倉記念病院の事務総合職。ホームページ、めちゃくちゃかっこいいです。

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事務総合職|小倉記念病院

都心では、三井記念病院も事務職(総合職)として募集しています。

【正職員】事務職(総合職) - 三井記念病院 採用情報サイト

私個人としても、いまのところ病院に雇用されて病院経営に関わるスタイルを取っています。たとえ将来コンサルティング側に行くとしても、実際の現場を肌で感じたことが仕事のベースになると信じて、現時点は医療機関に身を置いています。

 

2. 病院を複数持つ法人の本部で働く

2つ目の選択肢は、医療機関の法人の本部で働くこと。

公立病院本部の例として広島市を紹介します。

広島市の広島市立病院機構は、独立行政法人化した病院機構で、広島市内の4つの病院を経営しています。

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事務職員募集(パンフレット)について|職員採用情報|地方独立行政法人 広島市立病院機構

この場合、いきなり本部で働けるわけではないですが、本部機能のある法人を選んでおけば、どこかのタイミングで横断的に病院経営に関われるでしょう。

 

私立病院の本部の例としては、桜十字グループが挙げられるでしょう。

グループとして

  • 医療法人 桜十字
  • 医療法人 東京桜十字
  • 医療法人 大阪桜十字
  • 医療法人 福岡桜十字
  • 医療法人 八代桜十字
  • 株式会社 桜十字

6つの法人を運営しています。

採用情報(キャリア採用)を見ても(Carrers / New graduate recruitment - キャリア採用 募集要項(総合職) | 桜十字グループ

経営企画室
業務改善室
在宅企画室
医療推進室

と、グループに就職後、本部から各法人に〇〇室としてミッションを負いながら、業務を遂行していくことが推察できます。

 

また個人のキャリアにフォーカスすると、新卒時代の私の先輩も、いまは複数の施設を管理する本部の本部長として仕事に従事しています。

 

3. コンサルティング会社で病院経営に関わる

3つ目として、病院の外から、コンサルティングをすることで病院経営に関わることができます。

ただ、コンサルティング会社と言っても、それぞれに特徴があります。

大きい かつ 有名なところでいうと、ボストン コンサルティング グループでしょう。

東京大学医学部附属病院の経営改善支援に関わっていたりするようです(https://www.bcg.com/ja-jp/d/press/28june2018-Hospital-Management2-195785)。

 

病院業界に特化して有名なのは、日本経営

日本経営グループ | 経営コンサルティングの事例・サービス

病院業界で仕事をしていると、必ずどこかで関わることになるくらい知名度のあるコンサルティング会社です。

もうひとつ挙げられるのは、メディヴァ

メディヴァは自身でクリニックや健診施設を経営しながら、そのノウハウをコンサルティングに活かすことが強みのコンサルティング会社です。また海外の案件も多く手掛けています。コンサル・病院経営の実務・海外展開など幅広くヘルスケアの現場に関わりたい人には、おすすめの会社です。

ビジネスドメイン|MEDIVA Medical Innovation and Value-Added

 

人材紹介の強みを活かしながら、病院経営のコンサルティングをするなら、m3キャリア。医師や看護師、薬剤師、事務職の採用で業界トップレベルのm3キャリア。人材紹介だけでなく、病院経営コンサルも行っています。

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エムスリーキャリア株式会社 | サービス紹介

 

DPC分析なら、グローバルヘルスコンサルティング(GHC)

他病院とのDPCデータをベンチマーク分析して、課題に沿ったコンサルティングを行うGHC。ホームページからも、DPCを軸に病院の本丸を攻め込んでいるのがわかります。

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DPC病院向けコンサルティング支援事業 | データが軸の病院経営コンサルティング-グローバルヘルスコンサルティング

そもそもDPCって何?という方は、こちらの記事を読んでみてください!

 

「個」を重視したコンサルティングなら、High-Z(ハイズ)

代表の裵氏は、「医師の働き方改革に関する検討会」委員など厚労省との仕事も多く、大学では特任教授・客員教授を歴任する医療経営のコンサルタント。

About | High-Z Inc.

ハイズに所属する方々も、ハイズとしてのコンサルティング業の他にデジタルヘルス界で活躍する方も多く、他のコンサルティング会社より病院経営支援業務と個人の活動を両立させやすい会社と推察されます。

ハイズは、ヘルスケアに特化した新規事業開設支援のためのオープンなインキュベーションHUB「SHIP」を運営していたり、ヘルスケアビジネスコンテスト「Healthcare Venture Knot」を運営していることでも知られています。

 

4. ファンドとして病院経営に関わる

病院経営への関わり方の最後は、ファンドとして病院経営に関わる方法。

ファンドというとピンとこない方もいるかもしれませんが、簡単に説明すると、ファンドは億単位の資金を医療機関に投入して、経営支援という名で実質的な経営権を握り、経営改善を行います。収益改善を行い、不動産賃料を配当にしたり、最終的な売却益を得たりします。

資金投入に関わる調査から、ハンズオンでの経営改善、最終的な売却までを想定すると、かなり上流の病院経営に関わることが可能でしょう。

具体的な例としては、埼玉県熊谷の病院に20億円の投資がされたことが記憶に新しいでしょう。

 

その他、ファンドして病院経営に関わっている有名な2社を紹介します。 

1つ目はキャピタルメディカ

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  • 病院24施設
  • クリニック5施設
  • 画像診断センター1施設
  • 高齢者施設15施設

を経営しています。

もう1社は、LCパートナーズ。もともと不動産投資の会社だったところが、病院への投資を行っている会社です。

25の施設に投資しています。

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メディカル投資|株式会社LCパートナーズ

 

最後に

2020年の年が明けたのを気に、病院経営に関わりたい人向けに4つの選択肢を考えてみました。

  1. 病院に雇用されて働く
  2. 病院を複数持つ法人の本部で働く
  3. コンサルティング会社で病院経営に関わる
  4. ファンドとして病院経営に関わる

今回は詳しく言及してないですが、働く内容や働き方、給与は1〜4のどれを選ぶかで大きな違いがあります。上記を参考に、是非調べてみると面白いと思います。みなさまがキャリアを考える上での一助になると幸いです。

 

不定期更新ですが、2020年もHealthcare Compassをよろしくお願いします。

 

--筆者--
小迫 正実 (こさこ まさみ)
高校生で訪れたフィリピンのスラム街での体験から、人の命に関わる分野から経済を動かし、世界を変えたいというビジョンを抱く。
2012年慶應義塾大学卒業後、聖路加国際病院で医療の質を司るQIセンターの立ち上げに従事。分析業務から、データ×ITに課題解決の糸口を感じ2014年にヤフーに転職。広告データ事業に関わる。並行して一般社団法人Healthcare Opsを2017年に設立。2018年には公衆衛生修士をリバプール大学のオンラインコースで取得。2019年より亀田総合病院経営企画部に転職し、病院のデジタルトランスフォーメーションに従事。