Healthcare Compass 編集長の小迫です。
先日、久しぶりに前々職の先輩方と食事に行きました。そのとき思ったのが、以下のこと。
昨日、前々職の同僚8人とご飯食べました。
— 小迫 正実 (こさこ まさみ), MPH (@masamikosako) September 14, 2019
転職して何が良いかって、同僚に対して「あの人は仕事ができるか」という評価軸から離れて、人と人とのコミュニケーションに集中できること。
その弱いつながりが次の仕事に繋がったりするんですが、それも「その仕事」を評価してるだけなので楽ですね。
前々職は、私にとって初めての職場。新卒で入って何もできなかった私を育ててくれた場所。いまでも感謝の気持ちでいっぱいです。当時の思い出も良いものばかりで、特に違和感を覚えることはありませんでした。
ただ、2度の転職を経験した今、会社組織というのはムラ社会なんだ、と食事をしながら気づきました。
ムラ社会の定義をWikipediaから参照すると、
同類が集まって序列をつくり、頂点に立つ者の指示や判断に従って行動したり、利益の分配を図ったりするような閉鎖的な組織・社会をたとえた語。(村社会 - Wikipedia)
会社で働いていると当たり前のように
- 組織の長は誰で、どういう意思決定をしがち、とか
- 〇〇さんは、最近上司の△△さんとうまくいってないらしい、とか
- あそこの部署が新しい取り組みを始めたが、波紋を呼んでいる、とか
事実を脚色した話を耳にします。
これは、すでにその集団が同類になってしまい、各組織の長の指示/判断によって、組織が閉鎖的に動いているからなのかなぁと考えました。
転職をすると、所属していた組織を外から見ることができます。
そうすると、
- あの人は仕事ができる、とか
- 〇〇さんは、あの案件でブイブイ言わせているらしい、とか
といったような人を仕事の軸で判断する必要がなくなります。
そして、本質的に付き合いの中心になってくるのは、
- 誠実であるか
- 日々チャレンジしているか
- 運動しているか
- 趣味を楽しんでいるか
といったよりパーソナルな面です。
ただ、医療は地域に根ざして提供しているものでもあり、そこに所属する人もその地域に根ざしています。
また、地方にいけば雇用の流動性も低く、どうしてもムラ社会になりがちです。このように、職場が暮らしの大半を占めがちな業界で、どのようなスタンスで活動していきたいかを改めて考えてみました。
思うに、会社組織というムラ社会の軸から離れられる唯一の方法は、第3のコミュニティを持つことではないでしょうか。第3というのは、家族(第1)でも仕事(第2)でもない所属先。
第3のコミュニティの例として、
- 今まで所属した職場のつながり
- 趣味のつながり(スポーツ、山登り、料理など)
- スキル向上のつながり(他業界との勉強会、通学、資格取得)
- 昔からの友人とのつながり
があります。
私も、仕事の他に、一般社団法人を運営することで同業界のゆるいつながりを持つことが良いリラックスになっています。他にも先に上げた今まで所属した会社の方とのチャットや中高大学の友人との食事も、自分の中に複数の判断軸を持つという意味でとても助かっています。
もちろん、仕事で、その組織のルールでしっかり結果を出すに越したことはありません。仕事は人を成長させてくれる良いツールです。
ただ、外部要因によってうまく結果が出なかったり、家族のことを優先しないと行けない状況だったりすることもあります。そのとき、仕事場での価値観や判断軸だけで生活していると辛くなることもあります。
あくまでも、職場というのはある種のムラ社会で、一歩外に出れば違う判断軸で自分は見られるというのを心に留めておくことで、明日からの仕事がラクになるかもしれません。
最後に・・・私の場合はムラ社会というのを1つのゲームのルールだと思っています。「ポケモン」にも「ゼルダの伝説」にも「マリオカート」にも、それぞれのルールがあります。そのルールのゲームが得意かはやってみないとわかりませんが、やるからには楽しみたいですし、やるからにはクリアしたい。そう思って毎日仕事に取り組んでいます。
--筆者--
小迫 正実 (こさこ まさみ)
高校生で訪れたフィリピンのスラム街での体験から、人の命に関わる分野から経済を動かし、世界を変えたいというビジョンを抱く。
2012年慶應義塾大学卒業後、聖路加国際病院で医療の質を司るQIセンターの立ち上げに従事。分析業務から、データ×ITに課題解決の糸口を感じ2014年にヤフーに転職。広告データ事業に関わる。並行して一般社団法人Healthcare Opsを2017年に設立。2018年には公衆衛生修士をリバプール大学のオンラインコースで取得。2019年よりグループ病院経営企画部に転職し、病院のデジタルトランスフォーメーションに従事。
(edited by Junko Yabuki)