病院経営ウェブマガジン“Healthcare Compass (ヘルスケア・コンパス)”

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Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

日々の仕事でリスクを取る練習していますか?

会議で、若手が突然の挙手。

「それは違うと思います。世の中の流れを見ても、絶対A案で実施すべきです!」

ざわめく会議室。なんとなく変な雰囲気。

最終的に、会議のオーナーが「若手のN君の意見もあるが、今回は既定路線のB案で行きましょう。」で締めくくり会議は終了。

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みなさんの会社でも見たことある光景ではないでしょうか?
若手がせっかくリスクを取って発言したのに、うまくいかなかった例。
人によっては、「若手が無駄に進言したなぁ」と思ったり「タイミングと発言する人が悪かったな」と振り返ったりする方もいるでしょう。 

自分が会議のオーナーでないにもかかわらず、どうしてもある方向に行くに結論を持っていきたい場合、いきなりアクションを取ってもうまくいきません。

私も以前は、会議で果敢に発言するも撃沈するタイプでした。

社会人歴が長くなって、どのタイミングでリスクを取って発言すべきか少しずつ分かってきました。そして身につけるには、日々、リスクを取る練習をする必要があることも知りました。

今回は、若い頃の自分に向けた記事です。会議でリスクを取って自分の意見を発言して、発言が採用されることを目的とした「リスクを取る練習」を紹介します。

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そもそもリスクを取ったほうがいいのか?

本記事で語られるリスクを取るとは、「100%の確証がないけど、いま行動しないとチャンスを逃してしまう状態で、行動すること」です。

つまり機会損失を防ぐために行動する、ということです。

機会損失とは、

機会損失は、簡単に言えば、「稼ぎ損ない」や「儲け損ない」のことをいいます。これは、実際の取引(売買)によって、発生した損失ではなく、最善の意思決定をしないことによって、より多くの利益を得る機会を逃すことで生じる損失のことを意味します。
(参照:https://www.ifinance.ne.jp/glossary/business/bus063.html

上記の若手の会議の例では、発言しないより発言したほうが会社として得られる利益が大きいと若手は考えての行動だったのでしょう。

では、私たち(ビジネスマン)は、本当にリスクを取って発言・行動をすべきなのでしょうか?

答えは、Yesで、その理由は2つあります。

ひとつは、以前の記事で書きましたが(無い袖は振れない組織で、どうやって働くべきか

日系の事業会社であれば、クビになることはありません。率先して仕事をして、フルスイングしても、リスクなんて実質皆無です。むしろ、仕事を率先しておこない、組織内でリーダーシップを発揮するだけで、加点をもらえることのほうが多いでしょう。 

ということです。リスクを取ってもデメリットが少なく、評価されやすいからです。

もうひとつの理由は、リスクを取れるようになると仕事に対する不満が減るからです。進言すべきタイミングで、自分の意見を言えるようになり、ときにその意見が採用されます。自分の意見が採用されるようになれば、他の人が悪いという類の不満は一気に減ります。

うまくリスクをとれば、周りから評価をされるし、自分の中のネガティブな要素も減る。こんなお得なことはありません。

 

いきなりリスクを取っても、効果は出にくい

ただ、冒頭の若手の会議での発言のように、いきなり自分の意見を会議で発言しても効果はありません。なぜなら、会議のオーナーや参加者は、あなたの意見をまだ信頼していないからです。

自分の意見を述べ、それが影響力を持つまでにはリスクを取る練習が必要です。いきなり大勢の前で大胆な発言するより、まずは小さなリスクから取っていく必要があります。

昔の私も、小さなステップを踏まずに本番一発勝負をしてたなぁと思います。いくら正論を言っても、相手を動かさなければ意味はありません。そして相手の心にも準備が必要というのを忘れていました。小さなリスクは、自分だけのステップではなく、相手の準備のステップでもあります。

 

リスクを取る練習は、5つの段階がある

リスクを取る練習を積み重ねた先のゴールは「会議でリスクを取って自分の意見を発言して、それが採用される」ことです。

では、リスクを取った際に効果を出すための5つのステップを紹介します。

  1. 会議のオーナーに挨拶し、雑談をする。
  2. 会議で、確実な質問にすばやく答える。
  3. 会議で仕事をもらって帰る。
  4. もらった仕事を全力で行い、次の会議で報告する。
  5. 会議から派生した課題をまとめて、自主提案する。
1.  会議のオーナーに挨拶し、雑談をする。

新卒で入ったばかりの組織や転職したばかりのとき、役職者やプロジェクトのオーナーに話しかけるだけで勇気が必要です。

ただ、自分の意見を信頼してもらうには、まずは顔を覚えてもらう必要があります。そのためには、すれ違うたびに「挨拶して、たまに数十秒の会話をする」。

たったそれだけですが、そのくらい小さなリスクを取ることが大切です。

 

2. 会議で、確実な質問にすばやく答える。

組織になれてくると、いろんな会議に顔を出せるようになります。

会議のオーナーや参加者から信頼を勝ち得るためにいちばん重要なのは、この2つ目のステップ「会議で、確実な質問にすばやく答える」。

オーナーがずっと話し続けるわけにもいかないけど、他のベテランの参加者が答えるには簡単すぎる質問に対しては、若手が積極的に答えていきましょう。

会議の参加者は年をとるにつれて、取るに足らない質問に答えるのがめんどくさくなります。そんなとき、きちんと質問に答える人になれば「こいつを参加させておけば会議がスムーズになる」という評価は得られます。

 

3. 会議で仕事をもらって帰る。

役職者や会議のメンバーに顔を覚えられ、会議でも時折発言できるようになると、次に行うべきは「仕事をもらって帰ること」です。

会議で、正直誰でもいいけど面倒なTo Doが発生することがあります。そういう仕事、余裕があれば手を挙げて持って帰りましょう。

2、3回やるだけで株があがります。

 

4. もらった仕事を全力で行い、次の会議で報告する。

もらった仕事は全力で仕上げて、次の会議で報告しましょう。

ちなみに全部できなくてもいいです。60−70%くらいの進捗でもいいから、見せたほうがいいです。

60−70%くらいの進捗で、役職者や会議のメンバーに見てもらうには、2つの理由があります。

  • その仕事を引き続きやるか見極めてもらう
  • 引き続きやる場合の方向性を確認する

これさえやっていれば、周りからの「あれどうなった?」を防ぐこともできます。

 

5. 会議から派生した課題をまとめて、自主提案する。

3の「会議で仕事をもらって帰る。」と4の「もらった仕事を全力で行い、次の会議で報告する。」を繰り返し行っていれば、会議に出ている人からの信頼は増していくでしょう。ただ、目的である「会議でリスクを取って自分の意見を発言して、それが採用される」まではあと一歩。

みずから課題を見つけて提案して解決する能力を周りに示す必要があります。

実際、働いていても、この5「会議から派生した課題をまとめて、自主提案する。」をできている人は少数です。

会議に関連している課題で、誰も手を付けられない解決すべき課題や状況を知りたい人は多いはず。それを汲み取って、実現可能案をまとめて自主提案する。これができれば、会議に参加している意思決定者は、他の会議でもあなたの意見をサポートしてくれるようになります。

 

まとめ

組織の中で働いていると、100%の確証がないけど、いま行動しないとチャンスを逃してしまいそうなことがあります。

そのとき勇気をもって、発言したり行動したりできる人こそ、リスクを取れる人です。

ただ自身が意思決定者じゃない場合、会議など複数人の同意が必要な状況でリスクを取るのはなかなか難しいです。さらに、リスクを取って、その場で複数人の同意を得るのを初めから実現するのは至難の業。

会議でリスクを取って自分の意見を発言して、それが採用されるにはコツがあります。それを私はリスクを取る練習と言っています。

  1. 会議のオーナーに挨拶し、雑談をする。
  2. 会議で、確実な質問にすばやく答える。
  3. 会議で仕事をもらって帰る。
  4. もらった仕事を全力で行い、次の会議で報告する。
  5. 会議から派生した課題をまとめて、自主提案する。

1から5までを3ヶ月から半年かけてやれば、周りから一目置かれ、自分の意見も会議で採用されるようになります。そうすれば、仕事がもっと充実するでしょう。

改めて、若い頃の自分に伝えたいです。社会人人生は長く、本番一発勝負をする前にできることがたくさんある。小さいステップから始めていこう、と。

 

--筆者--
小迫 正実 (こさこ まさみ)
高校生で訪れたフィリピンのスラム街での体験から、人の命に関わる分野から経済を動かし、世界を変えたいというビジョンを抱く。
2012年慶應義塾大学卒業後、聖路加国際病院で医療の質を司るQIセンターの立ち上げに従事。分析業務から、データ×ITに課題解決の糸口を感じ2014年にヤフーに転職。広告データ事業に従事し、ITへの理解を深める。並行して、病院経営効率化のための一般社団法人Healthcare Opsを2017年に設立し活動。2018年には公衆衛生修士をリバプール大学のオンラインコースで取得。

 

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