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Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

第3回:病院再興計画における医師事務作業補助者の役割

こんにちは、NTT東日本関東病院の野村です。本日は、医師事務作業補助者について書きます。

昨今、医師の過重労働の問題が浮き彫りになり、厚生労働省も「医師の働き方改革検討会」を発足して検討しています。

しかし、未だに改善される見込みはなく、多くの医師が土日祝日返上して患者さんのケアや治療に専念しているのが現実です。

日本外科学会「外科医週間タイムスタディ調査2009」の調べによると、医師1人あたりの週間予定時間のうち診療外業務は週30.4時間という結果が出ました。

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引用:外科医週間タイムスタディ調査

この結果を受けてか、「診療以外の業務」が、医師の過重労働の要因の一つとして位置付けられております。対策として、診療報酬では医師事務作業補助者*を配置することを算定対象にしました。
※医師事務作業補助者:医師の指示の下に医療文書作成代行などの事務的作業を行う者

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医師事務作業補助体制加算

医師事務作業補助者を配置する算定を、医師事務作業補助体制加算といいます。診療外の間接的業務に対する医療機関の勤務環境の改善の取り組みの計画を重要視しています。

医師事務作業補助体制加算が平成21年に開始されてからは、年々届出する医療機関が増加しております。

中医協の調べでは、医師事務作業補助体制加算1の届出状況が平成26年の987施設から平成28年には1,652施設と2倍近く増えました(表1)。

表1 医師事務作業補助体制加算の届け出医療機関

名称

届出医療機関数

平成26年

平成27年

平成28年

医師事務作業補助体制加算

987

1,109

1,652

1,518

1,419

1,076

 

更に、平成30年度の診療報酬改定では、医師事務作業補助体制加算に多くの点数が付けられました。(表2)

表2 平成30年度 医師事務作業補助体制加算1の概要

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医師事務作業補助者の活躍が、病院勤務医の負担軽減策に非常に効果があるものとみなさた結果であると思います。 

当院の場合では、現在75:1の届出を行なっておりますので、8名の医師事務作業補助者を配置しています。

 次に、医師事務作業補助者の業務について、詳しくみていきましょう。

 

医師事務作業補助者の業務とは?

医師事務作業補助者が医療機関で実施する主な業務は以下の通りです。

  • 文書作成
  • オーダー代行入力・記載
  • 物理的整理
  • 行政上の対応
  • 電話対応、問診、片付け等のその他業務

医師事務作業補助者は、あくまで医師を支援するための人材ですから、間接業務のみであっても業務範囲は非常に広くあります。

配属される人材には、医療業界は未経験という方も多いため、役割を与えるには時間がかかるデメリットがあります。

そこでデメリットを克服するためには、まず医師のニーズを可視化したうえで、今すぐに対応できる業務と数年後に対応する業務に整理しておくことが重要です。

 

医師事務作業補助の本当のニーズとは?

当院では、病院の増収に向けてダッシュボード等を駆使し、医事課より算定漏れ等のお知らせをしております。

しかし、ある非常勤の医師が管理料等のオーダーを十分にしていない問題が発覚しました。その医師によると、常勤所属先の病院では医師事務作業補助者が「管理料オーダー代行」を行っている為、オーダーする機会が少ないとのことでした。医師は代行入力された内容を確認し、承認するだけで良く、精神的なストレスがないそうです。

実際に医師事務作業補助者は、施設基準の通則により算定業務までは行えませんが、管理料等のオーダー入力は請求業務ではないため、可能です。

医師が電子カルテ記録の入力作業におわれることもなく、本来業務に集中することができるとともに、算定漏れ防止のメリットもあります。

当院においても、医師事務作業補助者の業務として、管理料等のオーダー入力を追加する方向性で検討を進めております。

 

まとめ

今回は、医師事務作業補助者の役割についてご紹介しました。

  • 医師事務作業補助体制加算の届出医療機関は増加している。
  • 医師事務作業補助者業務は、医師のニーズを可視化したうえで、今すぐに対応できる業務と数年後に対応する業務を整理しておくことが重要である。
  • 「管理料オーダー代行」は、算定漏れを防止するメリットがある。

医師事務作業補助者の役割に、回答はありません。

仮に電子カルテ入力等、すべての間接的業務を医師事務作業補助者が担っていても、医師への教育が形骸化してしまったのでは、災害時等において病院機能は成り立ちません。医師事務作業補助者の役割の設定と、医師への人材育成についての責任は、両輪で進めていくことが、最も望ましいと考えます。

 

参考

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