はじめまして、野村英雄と申します。
私は、新卒でNTT東日本関東病院に勤めています。
NTT東日本関東病院は、東京都品川区のNTT東日本が運営する企業立病院です。
実質的には医療法第7条6項の規定上解釈として新規に企業立病院の設立は認められていませんので、設立から60から70年の企業立病院がほとんどです。
株式会社でさえ、100年続くような組織は珍しいため、少しでも本体が経営難となれば、真っ先にグループ病院が閉院や譲渡に追い込まれます。
2018年4月 品川区にありました東芝病院が、本社の経営難を理由に医療法人社団緑野会に譲渡されたのは、記憶に新しいと思います。
しかし、閉院や譲渡は、企業立病院に限った話ではありません。
厚生労働省の医療施設調査によると、病院数は1995年の9606施設から2016年には8442施設と減少しています。
日本の病院経営の現状
全日本病院協会の平成28年度調査結果からみた病院の経営状況では、日本の病院全体の38.3%は赤字経営であり、東京に限っては44.2%が赤字経営でした。
(公益社団法人 全日本病院協会 平成28年度 病院経営調査報告)
また、厚生労働省の平成29年度医療実態調査の全国平均損益実績は、平成27年度(前々年度)と平成28年度(前年度)の一般病院の収支状況の伸び率を調べております。
その結果、医業収益は約1460万円伸びているものの、給与費等が響き医業介護費用も約3275万円増加、「増収減益」となりました。
(第21回医療経済実態調査医療機関等調査)
本来であれば診療報酬改定の動向にあわせて、診療内容を決定すべきところではありますが、患者さんを集めるために病院を専門特化する傾向があります。
例:特定機能病院、がん診療拠点病院 等
病院が専門特化すると、専門の新たな医師を招聘や新たな機器の購入等により固定費の増加は避けて通れない状況です。
上記のことから、今後10年先にどこの病院が残っているのか分からないような、まさに、病院経営超困難時代に突入したと思います。
なぜ再興する必要があるのか?
私は、病院経営超困難時代の状況に頭を悩ませていたときに、師として仰ぐ者から言われた言葉が印象的でした。
「病院経営は誰のためにあると思う? 地域に住む人々のためや」
病院は、地域住民にとって、『安心の砦』であり続けなければなりません。
しかし、経営赤字を理由に病院が閉鎖してしまうと、十分な医療がうけられなくなるのではないかと、生活自体が不安になります。
そこで私は、現場で働きながらも経営赤字の病院を再興できる方法を提案できないかと考えるようになりました。
病院事務による病院再興計画
今回は、7回シリーズに分けて、病院経営超困難時代を生きる上で、オペレーションの効率性をいかにあげていくかにフォーカスされた病院再興計画を以下の3点の視点から書いていきます。
- 安全性
- 収益性の確保
- 効率性
評論家ではなく、実践者として生きる私たち医療従事者の想いをお届けします。
- 第0回:なぜ、病院は再興する必要があるのか(本編)
- 第1回:病院再興計画における委員会運営について
- 第2回:病院再興計画における診療情報管理士の役割
- 第3回:病院再興計画における医師事務作業補助者の役割
- 第4回:病院再興計画における人材不足を補うロボットの活用
- 第5回:病院再興計画における施設基準管理
- 第6回:病院が再興するためには
最後に
私も、Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)を通じて全7回のブログを発信し、継続して、さらなるオペレーションの改善していきます。また、ブログを通じて、新しい同志たちを増やすことも目的ですので、遠慮なくご連絡ください。
野村 英雄
参考:
- https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/keieichousa/h28keieichousa.pdf
(公益社団法人 全日本病院協会 平成28年度 病院経営調査報告) - https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&tstat=000001108555&cycle=0&tclass1=000001108556&second2=1
(第21回医療経済実態調査医療機関等調査) - https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html
(厚生労働省 医療施設調査)
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