Healthcare Opsの小迫です。
ブログメディア”Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)”を読んでいただき、ありがとうございます。
Healthcare Opsではブログメディア運営の他に、病院単位の研修ワークショップも提供しています。
Healthcare Opsは、病院の運用事例を集めて共有することを目的に立ち上げた法人です。事例を集めるにあたって、病院で働くひと自身に事例作成をしていただくことにこだわっています。
事例集:https://collective-healthcare-ops.pubpub.org/
今回は、なぜ私が病院で働くひと自身に事例作成をしていただくことにこだわっているかについて説明します。
きっかけは、大学院でのアクティブラーニング体験
私は、2015年10月から現在(2018年12月卒業予定)まで、イギリスのリバプール大学の大学院生です。仕事をしながら、オンラインで、授業をとったり論文を書いたりしています。
オンライン大学院は、アクティブラーニングという手法で授業が展開されています。
具体的には、必読論文以外に授業で課されるのは、3つのみ。
- 4人で構成されるグループワーク
- 個人ワーク
- 振り返りのエッセイ
教授が一方的にしゃべる授業はまったくなく、自分で論文を読み、仲間とディスカッションをしながらパワポやワードにまとめる。そこから得た自分の論理を、個人ワークにまとめる。そして、学習の過程をエッセイとして振り返る。
アクティブラーニングの最後のパート“学習の過程をエッセイとして振り返る”行為を省察といい、学習効果を比較的に向上させると言われています。
振り返ることで仕事のパフォーマンスがあがる
振り返りは、学習効果だけでなく、仕事にも効くことがわかっています。
ハーバードビジネスレビューに掲載されている記事では、振り返るだけでなく振り返りを共有することで、その後のパフォーマンスを有意に向上させると言っています。
参照:https://hbswk.hbs.edu/item/reflecting-on-work-improves-job-performance
これを病院経営の場で応用できないか?と思ったのが、ワークショップを始めるきっかけでした。
省察する場を作り出す
事例集を運営していくにあたって、Healthcare Opsが責任編集をして”きれいな”文章のみを掲載していくことも考えました。
もしくは、多くの学術的なジャーナルが採用している”採択”形式にして、文章の品質を担保する方法もありました。
しかし、病院経営運用事例集”Collective Healthcare Ops”では、以下の掲載ルールにしています。
医療施設・医療サービスの経営・運営に関する事例・エッセイを取り扱います。
本ジャーナルに"submit"された投稿は、禁忌事項に当てはまらない限り、すべてを採択します。
本ジャーナルに"submit"された投稿は、(中略)すべてを採択します。
すべてを採択するというのは、裏を返すと誰でも病院経営にかかわる仕事を振り返る場になることができます。
病院経営に関する仕事を、省察する場を作り出すために事例集をはじめました。
ワークショップを省察する場として提供する
省察する場を作り出すために事例集をはじめても、省察は誰もが簡単にできるものではありません。
過去の経験の洗い出し、情報の整理、文章化のプロセスを1人で行なうのは、とても大変です。
ただ、仲間と一緒に数時間集中すれば、意外と簡単に省察することができます。
また、仲間と一緒に考えることでアウトプットの質もあがると言われています。
参照:4 濱口秀司さんのアイデアのカケラたち。 - ほぼ日刊イトイ新聞
つまり、ワークショップを提供したかったのは、病院経営に関する仕事をする人が、数時間で省察をおこない、今後の仕事のパフォーマンスが向上させるきっかけになる場を作るためでした。
最後に、
私は今は病院経営の現場からは離れています。
しかし、本業としてインターネットの会社で現場の仕事をしています。前職の病院経営の仕事でも、今のインターネット企業の仕事でも感じることがあります。
それは、現場の人間でないと事業を良くすることはできない。
いくらコンサルや外部の組織が入り込んでも、最終的に実行を行なうのはその企業に所属する人たちです。
現場で仕事をする事務職や管理職の方々が、より良いパフォーマンスを発揮して、各病院の経営をより良くする手助けができればと思っています。
そのために、Healthcare Opsは、病院で働くひと自身に事例作成をしていただくことにこだわっています。