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Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

病院の運用事例:入院診療計画書マニュアル作成

Healthcare Opsの小迫です。

過去にいくつか病院経営に関する運用事例を、このブログで紹介していきました。

今回は、「入院診療計画書」に関する事例をご紹介します。

 

基礎知識として、入院診療計画書は、医療法の第6条の4で定められているものです*1。

(5) 入院診療計画書(第6条の4)
病院又は診療所の管理者は、患者を入院させたときは、当該患者の診療を担当する医師により、次に掲げる事項を記載した書面の作成並びに当該患者又はその家族への交付及びその適切な説明が行われるようにしなければならない
一 患者の氏名、生年月日及び性別
二 当該患者の診療を主として担当する医師の氏名
三 入院の原因となった傷病名及び主要な症状
四 入院中に行われる検査、手術、投薬その他の治療(入院中の看護及び栄養管理を含む)に関する計画
五 その他厚生労働省令で定める事項

なお、入院基本料の算定には、保険診療上規定された入院診療計画の基準に適合することが必要である。

この法律のもと、入院診療計画の基準*2を満たして初めて、入院基本料や特定入院料の算定することができます。

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ただ、毎患者にきちんとした計画書を作成する運用は、なかなか骨が折れるのも事実。
今回紹介する事例は、病棟看護の領域で、入院診療計画書作成の大変な運用を改善した事例です。

以下の内容は、一般社団法人Healthcare Opsが運営する病院経営運用事例集“Collective Healthcare Ops”から転載です。

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病棟看護:入院診療計画書マニュアル作成

氏名:杉本 幸江
所属:福井厚生病院/病棟

 

要旨

  • 前提:208床の病院 看護職
  • 課題:入院診療計画書が期限以内に回収できない
  • 対応:マニュアルを作成する
  • 結果:入院診療計画書が期限以内に回収されることが多くなった

 

前提

  • 内部環境:
    • 地域包括ケア病棟43床。
    • 看護師23名、看護補助者9名。看護師長経験7ヶ月

 

課題

入診療計画書が一週間以内に家人の同意が得られず、回収できていない。

スタッフに意識づけされていない。

 

背景

地域包括ケア病棟では、転入時にも新たに入院診療計画書が発行される。一週間以内に入院診療計画書は家人の同意を得て回収が必要となっている。

転入してきた場合、師長が、入院診療計画書の発行を依頼していた。発行されると、受け持ち看護師が多職種に依頼して家人にサインをもらっている。

手順が統一されていない。マニュアルも存在しない。家族があまり来ない場合は退院時に説明し同意サインをもらうこともある。

 

状況の分析

師長が入院診療計画書の発行を依頼しているが、不在の時もあり、依頼が遅くなるときがある。

師長以外、発行の手順を知らない。入院診療計画書の回収を受け持ち看護師に任せている。

回収されたかどうか、誰も確認していない。医事課より未回収の連絡があってから気がつくことが多い。

家族が来院していても気が付かず、説明、同意サインをもらえないこともある。

 

アプローチ

入院診療計画書の依頼を師長業務から、看護師リーダー業務に変更する。看護師リーダー業務で、毎日、入院診療計画書の確認業務を追加する。看護師リーダーから、受け持ち看護師に伝える。家人が来院したときに説明できるように、病室に紙面で掲示する。などの内容。

看護師リーダーとメンバー看護師、入院時、転入時の4通りのマニュアルを作成する。マニュアル作成後、スタッフに説明し、マニュアルを見ながら実施する。

 

結果

看護師リーダー業務に変更したことで、師長が不在時でも入院診療計画書の発行依頼ができるようになった。また、毎日、チェックすることや家族が来院したときに説明できるように病室に掲示したことによって、以前より、一週間以内で入院診療計画書を回収することができるようになった。

マニュアルを作成したことにより、統一した方法で業務できるようになった。看護師リーダーからの発信もあり、以前より、入院診療計画書を一週間以内に回収するということが、全スタッフも意識づけができるようになり、気にかけるようになってきた。

 

議論の残る部分

看護師リーダー業務に追加したことにより、業務が増えた、看護師リーダーの負担が大きいなど、苦痛に感じているスタッフもいる。回収はできているが、入院診療計画書の内容が個別化されていない。

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病棟看護における、入院診療計画書の改善事例、いかがでしたか?

看護師長から看護師リーダーに業務を移管し、マニュアルを用いて現場に運用を徹底したことが、今回の改善ポイントです。

病院を運営していく上で、神は細部に宿るものだと、私は考えます。日々の運用、毎日の積み重ねをすることで、病院の経営がよくなり、患者さんにより良い患者体験を提供できるようになります。

これからも、病院経営/医療経営ブログ“Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)”では、どんなに細かい話であっても、病院経営に関する運用事例を紹介していきます。

 

参照

  1. https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/shidou_kansa_01.pdf
  2. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000041259.pdf

 

 

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