こんにちは、みほ🍉 (@miho_runrun) です。
元々700床クラスの急性期病院で看護師をやっていた私が、業務上一番課題感を感じていたのが「業務が非効率すぎる」こと。
特に電子カルテは何度も同じ情報をいれ、情報はバラバラに保存され、使いづらい上に動きが遅くてすぐ固まるetc、、、
当時は不満だらけだった私も、病院の経営に関わる仕事に転職し、電子カルテ市場も俯瞰的に見れるようになってきました。
2001年に厚生労働省が電子カルテ普及を進めるようになり、早18年。
2020年には電子カルテ市場規模は”2,780億”にもなると言われており、
これは、医療業界では医療機器、その他業界では電子書籍やメルカリ等のフリマアプリ市場規模と同列と言われています。とても大きな市場規模です。
今回は電子カルテの概要と、市場への危機感、これから想定される世界をまとめてみました。
<目次>
1.電子カルテの普及率
電子カルテの普及率は『「日本再興戦略」改訂2015』に「400 床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げる」という目標が示されているものの、現状は全体では38.9%、400床以上の一般病院では74.6%となっています。(引用;https://www.seedplanning.co.jp/press/2017/2017080301.html )
とはいえ、昨今では地域包括ケア病床・回復期リハビリテーション病床でもデータ提出を求められているので、業務効率化の観点から中小病院でも電子カルテ導入が進んでいる状況です。
これまで電子カルテは「大学病院」をメインターゲットにした開発になっていますが、同じ仕様・機能は中小病院では必要ありません。
逆に必要な機能が「オプション機能」となり、それを搭載するのに数千万単位の金額が必要となります。
必要ない機能がスタンダートでついており、必要な機能がオプションになる。
電子カルテに数千万円の金額を払える中小病院は多くはありません。
でも、払うしかない。電子カルテが必要であるのは確かなうえ、「紙カルテならば働かない」という医師も多い。病院は医師がいないと収入が得られません。
いわば「足元を見た」商売をしているように見えるのも、電子カルテメーカーの特徴と言えます。
2.市場への危機感
病院向け電子カルテのトップシェアは富士通。ついでCSI・NEC・ソフトウェアサービスなどが並びます。(引用:http://www.softs.co.jp/e-map/share.html )
400床以上の病院は、おそらくこれらのメーカーをメインに利用しているかと思います。
(編集部で作成)
しかし、電子カルテの使いやすさに「満足している」という声を聞いたことがありません。
事実、こんなコメントをもらったりしています
電カルは医療者に寄ると事務が使いづらいし、事務に寄ると医療者がつかいづらいんだよな。しかもメーカーで仕様に互換性ないからスイッチングコストが高く不満持ったまま使い続けてしまう。
某メーカーから同じメーカーの新しいものになったのですが、これらが全て今回のシステム総入れ替えでダメダメになったので、残業増えまくりです。病棟管理日誌がすごく不便になったのがかなり痛いです、入退院転入転出はわかるんですが病棟内の転室が載らないのが困るのです重症加算の算定や個室代の請求が…
顧客満足度が低い状態でも、このまま大手メーカーがシェアを抑えるのでしょうか。
私は、顧客満足度を得られる電子カルテ開発が進むと、一気にシェア率が変化するのでは、と思っています。
3.いま注目されているベンチャー企業
大手メーカーは開発に人的コストも金銭的コストも投下しているため、使いやすさに特化したシンプルで安価な電子カルテ開発を進めようとはしたがりませんが、
顧客満足度が低いところにスポットを当てた電子カルテ開発をしているベンチャー企業は数多くあります。
下記が代表的なもの。
どれもクリニックをメインターゲットにしたものですが、UI/UXが優れ、レセコン等との連携が可能なものもあり、医療者にとっても、事務にとっても使い勝手の良い内容となっています。
これまでは単なる患者情報記録媒体と情報提出のための管理ツールであった電子カルテも、最近は病病連携、病診連携ができるようなもの、あるいは遠隔診療に対応したものもでてきています。
より顧客満足度の高いものの開発がこれから楽しみです。
まとめ
- 電子カルテの普及率は目標90%に対して74.6%
- 400床以上の病院で使用している電子カルテは大手メーカーのシャア率が高いが、使いづらさが問題となっている
- クリニック、中小病院向けは、顧客満足度にコミットしたUX重視の電子カルテの開発が進んでいる
次回は上記4メーカーの特徴や、医療者/事務目線でみた使い勝手を紐解いていきたいと思います。
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