いつも医療経営/病院経営ブログメディア”Healthcare Compass(ヘルスケアコンパス)”を読んでいただき、ありがとうございます。小迫です。
今日は、アメリカのオンライン薬局の話です。
Amazonが、オンライン薬局企業を買収
オンライン薬局の話の前に、みなさんはオンラインショッピングしていますか?
私は、日用品から書籍まで、Amazonを愛用しています。Amazon Primeという会員になれば(年間4000円)、配送料無料、映画やドラマ見放題、音楽聴き放題です。
そんな多くのサービスを提供するAmazonは、オンラインショッピングのプラットフォームとして、多くの企業を買収することで事業を拡大しています。*1
2018年6月末、Amazonは、アメリカでオンライン薬局を運営するピルパック(PillPack)を買収することに合意しました。
ピルパック(PillPack)とは?
ピルパックとは、Bloombergの記事によると、*2
ピルパックは全米50州全てで通販薬局のライセンスを所持している
エクスプレス・スクリプツ・ホールディングやCVSといった大手薬剤給付管理(PBM)会社の大半とも業務関係にある
ピルパックは日時が刻印されたパックに服用するべき複数の薬品をあらかじめ仕分けして梱包し、自宅に配送する。
医薬品の再購入時期の判断や患者の自己負担金の確定、保険の確認といった薬局の日常的な業務の多くを自動化するソフトウエアも展開している。
とあります。
業務だけじゃなく、デザインも美しいピルパック(PillPack)
ピルパック(PillPack)は、Amazonに買収される前から、そのシンプルさとデザインの美しさで業界関係者から注目を浴びていました。
1分間の短い映像から、その素晴らしさが伝わるので、ぜひご覧頂きたいです。
患者にとって、ピルパック(PillPack)の嬉しいところは、*3
- 1回に飲む分の薬をパックしてくれること
- パックしたものを、自宅まで直接届けてくれること
- 宅配の中に、ビタミン剤やクリームも入れてくれること
- 薬剤指導が24時間、スマートフォンのアプリから受けられること
- 登録は、保険情報と今飲んでいる薬の一覧を入れるだけの簡単であること
このピルパック(PillPack)の、簡単/シンプル/スッキリしたデザインは、デザインコンサルティング会社IDEOにデザインを依頼して成し得たものです。IDEOは、Appleがマウスのデザインを依頼したことで有名な会社です。
Wired誌で、創業者のパーカー氏は以下のように語っています。*4
「IDEOは登録が完了するまでの入力プロセスを、10から3にまで減らすのを手伝ってくれました」(パーカー)
Amazonとピルパック(PillPack)が作る未来
Amazon Primeには、Amazon Prime Nowという、1時間以内に商品を届けるサービスがあります。
このピルパックとAmazon Prime Nowを組み合わせると以下のような仕組みが可能になります。
(筆者作成)
かかりつけ医に、いつも同じ薬を処方してもらいにいく場合(いずれは遠隔診療に)、患者はもらった処方箋のQRコードをアプリで撮影して、ピルパックにデータを送ります。すると、ピルパックは、患者に必要な薬を一包化して、Amazonの配送システムを使って自宅まで届けます。
日本のAmazon Prime Nowにおいても、現在、ココカラファインやマツモトキヨシの商品を取り扱っています。Amazonは今回の買収で、米国においては患者に直接薬を届けるために必要な薬剤側のサービスを手に入れることができました。
まとめ
Amazonが、オンライン薬局企業ピルパック(PillPack)を買収しました。
- ピルパックは日時が刻印されたパックに服用するべき複数の薬品をあらかじめ仕分けして梱包し、自宅に配送するサービスです。
- デザインと患者体験がとても優れたサービスです。
- Amazonの配送システムと組み合わせることで、より便利な薬局サービスをピルパックおよびAmazonは提供できることになります。
米国だけでなく、日本の薬局体験まで一気にGame Changeすることを期待しています。
参照
- https://jp.techcrunch.com/2017/06/17/20170616here-are-all-of-amazons-acquisitions-before-whole-foods/
- https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-28/PB1AKV6JIJUT01
- https://www.pillpack.com/
- https://wired.jp/2015/04/17/pillpack/