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診療報酬改定を読む⑨:特定集中治療室管理料等の見直し

こんにちは、編集部Mです。

4月1日付で診療報酬制度が2018年度版へ移行し、各医療機関では様々な対応をひつようとしています。既に運用として始まっていることも多いと思います。

このブログでも2018年度改定で気になる項目を取り上げて解説していきます。

第9回のテーマは、「特定集中治療室管理料に関わる診療報酬の見直し」です。

 

特定集中治療室管理料とは?

特定集中治療室とは、いわゆる「ICU」のことを指します(ICU=Intensive Care Unit)。 特定集中治療室管理料を算定するためには、医師・看護師の配置人数、病棟単位での重症度・看護必要度、受けいられる患者の疾患などが細かく規定されています。その代わりに、高額な診療報酬が算定可能です。

2018年度改定では、特定集中治療室管理料1は、以下のようになっています。

  • 7日以内だと13,650点
  • 8日以上14日以内だと12,126点

一般床に入院した際の入院基本料は、最も高い急性期一般入院料1が1,591点です。この差からも、特定集中治療室管理加算の算定点数の大きさがわかると思います。

今回は特定集中治療室に関わる診療報酬の変化をまとめていきます。

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2018年度改定での変更点

今回の改定では、特定集中治療室においてより質の高い医療を提供するため、以下の3点が新たに追加・変更となっています。

  1. 多職種による早期離床の取組への評価
  2. 専門の研修を受けた看護師の配置要件の追加
  3. 入退室時の生理学的スコアの測定

 それぞれについて、中医協資料を抜粋しつつ概要を解説していきます。

 

1.多職種による早期離床の取組への評価

特定集中治療室における多職種による早期離床・リハビリテーションの取組が、「早期離床・リハビリテーション加算」として新たに評価されることになりました。

算定点数

500 点(1日当たりの点数。14 日を限度として、特定集中治療室管理料に加算する。)

施設基準

「チームでの診療」「集中治療室における早期離床・リハビリのプロトコルの定期的な見直し」「リハビリテーション料の届出」が算定に当たっての施設基準となっています。以下がその詳細です。

(1) 特定集中治療室内に、以下から構成される早期離床・リハビリテーションに係るチームを設置すること。

  1.  集中治療の経験を5年以上有する医師
  2. 集中治療に関する適切な研修を修了した看護師
  3. 十分な経験を有する理学療法士

(2) 特定集中治療室における早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルを整備し、定期的に見直すこと。

(3) 心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料に係る届出を行っている保険医療機関であること。

 

集中治療室は院内でも特に医療が重点的に提供される場所です。入室時から早期離床・リハビリを進めることで、患者さんにとっては一般床に早く移動することができます。病院にとっても、集中治療室の在院日数が短くなり、効率的に集中治療室の運営をできるようになります。

 

2.特定集中治療室への専門性の高い看護師の配置要件の追加

これまでの特定集中治療室管理料1、2の施設基準は、大きく下記の二つから成り立っていました。

  1.  病院の一般病棟の治療室を単位として行うものであること。
  2. 当該治療室内に集中治療を行うにつき十分な医師が常時配置されていること。

ここに、今回の改定から「集中治療に関する適切な研修を修了した看護師が配置されていること」が追加になりました。

これまでは専門性のある医師の配置だけが施設基準上で問われてきましたが、今後はそれが看護師にも当てはまってきます。ベッドサイドで日常的なケアを行う看護師の専門性が診療報酬でも問われてくることで、集中治療室におけるケアの質にどのような変化が起きるのかに注目していきたいと思います。

※経過措置として、「平成 32 年3月 31 日までの間は、特定集中治療室等において6年以上の勤務経験を有する看護師が配置されていれば、適切な研修を修了した看護師を配置されているとみなす。」とされています。看護師の詳細な要件については次回の改定で明らかになってくるのかもしれません。

 

3.入退室時の生理学的スコアの測定

特定集中治療室管理料を算定している病棟では、今後「生理学的スコア(SOFAスコア)」を入退室時に測定することが求められます。

生理学的スコア(SOFAスコア)とは、呼吸機能、凝固機能、肝機能、循環機能、中枢神経機能、腎機能の6項目を、それぞれ5段階の点数でスコア化し、全身の臓器障害の程度を判定するものです。

集中治療室に入退室する患者が実際どれほどの重症度なのかを看護必要度以外の側面からも測定しデータとして蓄積し、次回以降の診療報酬改定では集中治療室の入退室の適正化につなげていくという考えがあるのかもしれません。

 

まとめ

2018年度改定において、特定集中治療室での診療報酬の改定のポイントは大きく以下の三点であり、それぞれ次のような狙いがあることがわかります。

1. 多職種による早期離床の取組への評価
=> 入院患者の早期一般床への移動を促し、集中治療室の効率的な運営を目指す

2. 専門の研修を受けた看護師の配置要件の追加
=> 集中治療室における看護ケアの質の向上と標準化を図っていく。

3. 入退室時の生理学的スコアの測定
=> 具体的なスコアを測定し、集中治療室の入退室の適正化を目指す。 

 

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