Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

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診療報酬改定を読む⑧:外来の機能分化の推進

こんにちは、編集部Mです。

4月1日付で診療報酬制度が2018年度版へ移行し、各医療機関では様々な対応がとられていることと思います。

既に運用として始まっていることも多いと思いますが、3月までに引き続き、このブログでも2018年度改定で気になる項目を取り上げて解説していきたいと思います。

第8回のテーマは、「外来の機能分化の推進」です。

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外来の機能分化とは?

医療機関へのフリーアクセスによる弊害

日本の健康保険制度の特徴の一つに、保険証を持っている人であればどの医療機関にでもかかることのできる「フリーアクセス」という概念があります。

このフリーアクセスにより、患者が診察や検査設備の整った大病院へクリニックを経ることなく最初から流れていく傾向になります。

結果として、入院機能に特化すべき医療資源を持った医療機関が軽症の外来患者への対応に追われます。外来機能に特化すべき医療機関の患者が減少していき、医療資源の効率的活用の観点から望ましくない状況が生まれてきています。

この対応策として、フリーアクセスの基本は守りつつ、医療機関の間で役割分担を図っていこうというのが「外来の機能分化」の意味になります。

  • 大病院の外来では紹介患者を中心とする。専門外来の機能は確保する一方で、一般的な外来機能は縮小していく。
  • かかりつけ医機能を有する医療機関の外来では、一般的な外来受診の相談に対応することを基本とし、必要に応じて、大病院(専門外来)を紹介する

【外来機能分化のイメージ図:2018/1/10の中医協資料より抜粋】

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選定療養費を通じた大病院受診の制限

外来の機能分化を推進するための具体的な対応策として、以下のことが挙げられます。

紹介状を持たずに大病院(特定機能病院や一般病床500床以上の地域医療支援病院)を受診した患者から、「選定療養費」という名目で保険外の自己負担金を請求することができる制度です。

患者に対して健康保険の効かない自己負担金を設定することで、まずは一般の診療所にかかってもらうようなインセンティブを働かせることが目的になります。

2016年度改定では、初診時5000円、再診時2500円の選定療養費の徴収が義務づけられました。このように、大病院と中小病院・診療所の外来機能分化については、過去数回の改定で段階的に進められてきています。

 

2018年度改定での変更内容

今回の改定では、外来医療の機能分化について大きく以下の二つの変更点があります。

  1. 大病院向けの内容:選定療養費を徴収する医療機関の対象範囲の見直し
  2. かかりつけ医向けの内容:かかりつけ医機能を有する医療機関における初診の評価

 それぞれの内容について解説していきます。

 

1. 大病院向けの変更点

「大病院」における外来診療の位置づけ

いわゆる「大病院」に求められる機能は、入院のできる環境で高度な手術や薬物治療を通じて、患者さんの治療を進めることです。

このため、大病院は入院機能が「主」、外来機能が「従」という位置づけになります。一般的な外来受診は、かかりつけ医機能を有する医療機関を中心に行う必要があります。

大病院における外来診療の位置づけをより明確にするために、今回の改定では「選定療養費」を徴収する医療機関の対象範囲の見直しがなされています。 

選定療養費を徴収する医療機関の対象範囲変更

2018年度の改定から、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の見直しについて、特定機能病院及び許可病床 400 床以上の地域医療支援病院へ拡大する。」との変更がなされました。(これまでの条件は500床以上)

これにより、「紹介状なしの大病院受診時に選定療養費を徴収する必要がある病院が増加し、一般的な外来受診はかかりつけ医で行う」という流れがますます加速すると思われます。 

 

2. かかりつけ医向けの変更点

「外来医療における大病院」と「かかりつけ医」との適切な役割分担を図るために、かかりつけ医機能を持つ医療機関において、より的確で質の高い初診時における診療機能を行う必要があります。そこには、大病院への受診の要否の判断等を含まれます。

その診察の質への評価として、新たに「初診料 機能強化加算」の算定が可能になりました。

算定点数

初診料を算定する際につく加算で、80 点と定められています。

算定要件

かかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ている医療機関が対象になります。

具体的には、以下の診療報酬の算定を届け出ている医療機関が対象になります。また医療機関としての規模は診療所又は 200 床未満の保険医療機関に限られていることには注意が必要です。

  • 地域包括診療加算
  • 地域包括診療料
  • 認知症地域包括診療加算
  • 認知症地域包括診療料
  • 小児かかりつけ診療料
  • 在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)
  • 施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)

かかりつけ医にとっては、一般的な外来受診と必要に応じた大病院への患者紹介が診療報酬上で評価されることになり、診療所の経営に追い風となる改定内容であると考えられます。

 

まとめ

  • 外来医療の機能分化を推進するためには、入院機能を主とする大病院と、外来機能を主とするかかりつけ医がそれぞれの役割を忠実に果たし、適切に連携することが不可欠になる。
  • 大病院向けの改定内容として、紹介状なし受診患者へ選定療養費を請求する医療機関の対象範囲が拡大した。
  • かかりつけ医向けの改定内容として、一般的な外来受診と必要に応じた大病院への患者紹介を積極的に行うことを評価する「初診料 機能強化加算」が新たに算定可能となった。

参照

 

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