Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

ヘルスケア界隈で気になっていることを調べてみました。今後の医療の方向をわかりやすく示すブログメディアを目指しています。

Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

診療報酬改定を読む⑦:入退院支援の推進

こんにちは、編集部Mです。

4月1日付で診療報酬制度が2018年度版へ移行し、各医療機関では様々な対応がとられていることと思います。既に運用として始まっていることも多いと思いますが、3月までに引き続き、このブログでも2018年度改定で気になる項目を取り上げて解説していきたいと思います。

第7回のテーマは、「入退院支援の推進」です。

f:id:massy535:20180409005358j:plain

 

入退院支援に関する診療報酬

2016年度までの診療報酬として、入退院支援の推進を評価する「退院支援加算」がありました。

退院支援加算とは、入院早期より退院困難な要因を有する患者を抽出し、退院支援を実施することを評価する診療報酬です。

「退院困難な要因」は、以下の9つに分類されています。

ア 悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれかであること
イ 緊急入院であること
ウ 要介護認定が未申請であること(介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条 各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満の者及び65歳以上の者に限る。)
エ 入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推測 されること。)
オ 排泄に介助を要すること
カ 同居者の有無に関わらず、必要な介護を十分に提供できる状況にないこと
キ 退院後に医療処置(胃瘻等の経管栄養法を含む。)が必要なこと
ク 入退院を繰り返していること
ケ その他患者の状況から判断してアからクまでに準ずると認められる場合

退院支援加算1を届け出ている施設を前提に、退院支援加算は下記の業務を行うと算定できます。

  • 原則として入院後3日以内に患者の状況を把握するとともに、退院困難な要因を有している患者を抽出する。
  • 「一般病棟入院基本料等」の患者の場合は原則として7日以内、「療養病棟入院基本料等」の患者の場合は原則として14日以内に患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話合いを行う。
  • 関係職種と連携し、入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手する。

算定点数は、指導料の加算としては比較的高めの診療報酬が設定されていました。

  • 「一般病棟入院基本料等」の患者:600点
  • 「療養病棟入院基本料等」の患者:1200点

(参照:A246 退院支援加算(退院時1回) - 平成28年度診療報酬点数 | 今日の臨床サポート

 

2018年度での変化

中医協資料には、入退院支援の推進のための基本的な考え方として、以下の文言が書かれています。

住み慣れた地域で継続して生活できるよう、患者の状態に応じた支援体制や地域との連携、外来部門と入院部門(病棟)との連携等を推進する観点から評価を充実する。

今回は、その考え方から派生した2つのトピックについてご紹介します。

  1. 「入院時支援加算」の新設
  2. 「退院支援加算」の対象者追加

 

①「入院時支援加算」の新設

今までの加算は「退院支援」という名目でした。

今回の改定から「入院時支援加算」として、入院を予定している患者への支援が評価されるようになりました。

中医協資料には、その趣旨が下記のように記載されています。

入院を予定している患者が入院生活や入院後にどのような治療過程を経るのかをイメージでき、安心して入院医療を受けられるような、より優しく丁寧な医療を推進する観点から、外来において入院中に行われる治療の説明、入院生活に関するオリエンテーション、持参薬の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施し、支援を行った場合の評価を新設する。

f:id:massy535:20180409005438j:plain

算定点数

入院時支援加算 200 点(退院時1回)

算定対象となる患者

  1. 自宅等(他の保険医療機関から転院する患者以外)から入院する予定入院患者であること。
  2. 入退院支援加算を算定する患者であること。

施設基準

  1. 入退院支援加算の届出を行っている保険医療機関であること。
  2. 入退院支援加算1、2又は3の施設基準で求める人員に加え、入院前支援を行う担当者を病床規模に応じた必要数、入退院支援部門に配置すること。
  3. 地域連携を行うにつき十分な体制が整備されていること。

行うべき支援内容

入院時支援加算では、入院前に以下の内容を含む支援を行い、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有することが求められます。

  1. 身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握
  2. 褥瘡に関する危険因子の評価
  3. 栄養状態の評価
  4. 持参薬の確認
  5. 入院中に行われる治療・検査の説明
  6. 入院生活の説明
  7. 退院困難な要因の有無の評価

入院前の外来で患者に関わるのは医師がほとんどです。

しかし今後は、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、入院前から多職種による連携が求められてくるのかもしれません。

 

②入退院支援加算の対象者追加

現行の退院支援加算は、入院早期から退院後までの切れ目のない支援を評価していました。今回から加算の名称が見直され、「入退院支援加算」となりました。

2018年度の改定より、入退院支援加算の対象である「退院困難な要因」に、以下の3つのケースが追加されています。 

  1. 虐待を受けている又はその疑いがあること
  2. 医療保険未加入者又は生活困窮者であること
  3. ク 同居者の有無に関わらず、必要な介護又は養育を十分に提供できる状況にないこと 

f:id:massy535:20180409005511j:plain

いずれの場合も、虐待や生活困窮等により入院早期から福祉等の関係機関との連携が必要なケースであり、入院早期でのソーシャルワーカーや事務部門の介入が、診療報酬でも適切に評価される方向に向かっていると感じます。

 

まとめ

入退院支援の推進のため、2018年度の診療報酬改定より、以下の活動が評価されることになった。

  1. 「入院時支援加算」の新設:入院前から入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有すること。
  2. 「退院支援加算」の対象者追加:虐待や生活困窮等により福祉等の関係機関との連携が必要なケースへ入院早期から介入すること。

いずれの場合も、医師だけでなく、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、多職種による院内連携が不可欠となります。

 

参照

 

“Healthcare Compass”では、最新記事をメールでもお知らせしてます。