Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

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診療報酬改定を読む④:オンライン診療料の新設

こんにちは、編集部Mです。

2018年度の診療報酬改定の概要が決定し、毎日様々なニュースが出てきています。 このブログでも、2018年度改定で気になる項目を取り上げて解説していきたいと思います。第4回のテーマは、「オンライン診療料の新設」です。

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なお、記事作成に当たっては中医協審議資料を参考としていますので、詳細を確認したい方はこちらもご参照ください。

中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省

 

オンライン診療料の基本的な考え方

以下は、中医協資料からの抜粋です。

情報通信機器を活用した診療(リアルタイムでのコミュニケーションが可能なオンラインシステム等の通信技術を用いた診察や医学管理)について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、診療報酬上の評価を新設する。 

 対面の診療が原則であることを前提として、安全性に配慮された体制に限り、オンライン上での診療も認める、という位置づけからのスタートになるようです。

 

オンライン診療料の概要

点数

1ヶ月につき、オンライン診療料として70 点が算定可能です。

算定要件

(1) 算定可能な患者

下記の項目を算定している患者が対象となります。

特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料又は精神科在宅患者支援管理料 

これらの患者群が以下の2つの条件を満たしたうえで、オンラインによる診察を行うと算定できることになっています。

  1. オンライン診療料が算定可能な初診以外の患者群
  2. 当該管理に係る初診から6月以上を経過した患者(初診から6ヶ月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限る。)

ただし、連続する3ヶ月は算定できない点には注意が必要です。あくまでも、原則は対面診療であり、オンライン診療はその補足、という位置づけが出ています。

 

(2) オンライン診療を行う条件

患者の同意を得た上で、対面による診療(対面による診療の間隔は3月以内に限る。)とオンラインによる診察を組み合わせた療養計画を作成することが必要です。

また当該計画に基づき診察を行った上で、その内容を診療録に添付していることも必要になります。

 

(3) オンライン診療を行う医師の条件

オンラインを用いて診察する医師は、対面による診療を行っている医師と同一の医師であることが条件になります。
※オンライン診療料を算定する場合の処方箋料の取扱い等については、有効性や安全性等に配慮し、別に定められています。

「オンライン診療をどのようにして行うか?」については、「当該保険医療機関に設置された情報通信機器を用いて診察を行うこと。」としか書かれていません。ここについては、考察の部分で掘り下げたいと思います。

 

施設基準

以下の三点がオンライン診療を行う上での施設基準になっています。

  1. 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有していること。
  2. 緊急時に概ね 30 分以内に診察可能な体制を有していること。(ただし、小児科療養指導料、てんかん指導料又は難病外来指導管理料の対象患者は除く。)
  3. 一月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること。

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考察

「厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等」とは?

オンライン診療のガイドラインは、実はこれから検討がなされるようです。厚生労働省に検討会が立ち上げられていますが、第1回の会合が先月の2月8日に開催されたばかりです。オンライン診療が先行して始められているアメリカやEUの事例を参照しつつ、日本版のガイドラインがこれから作られていくようです(2018年3月3日執筆時点)。

情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会 |厚生労働省

 

検討段階での論点は以下の三つとされています。

  1. 適用の基準(患者の同意、診療計画、薬剤の処方など)
  2. 提供体制(通信環境・使用端末、提供場所や急変対応の体制など)
  3. その他(意思/患者への教育、質の評価など)

オンライン診療実現のカギは、「対面診療と同じ質や体制の医療が提供されること」であると考えられますが、どのようなレベルのガイドラインになるのかを注視していきたいと思います。

 

医療機関経営への影響は?

今回の改定でオンライン診療が経営に及ぼす影響はほとんどないと考えられます。理由は以下の3つからです。

  • 算定点数は1月につき70点(700円)と極めて少額であること。
  • 対象患者が慢性期でかかりつけの患者に限定されること。
  • オンライン診療料の割合は1割以下に設定しなければいけないこと。

もちろん、次回以降の改定では、端末や通信技術の発展と合わせて対象範囲が拡大されていくことが予想されます。

今後の経営を考えるにあたっては、無視できない存在になってくるのかもしれません。

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まとめ

今回の話をまとめると、

  • オンライン診療が算定可能になっても、対面診療が原則になることに変わりはない。
  • オンライン診療料の算定には、厚生労働省の設定したガイドラインに沿って医療を提供することが条件。
  • 2018年度の改定で算定の対象になる患者は、慢性期でかかりつけの患者に限定される。 

なお今回の記事では紹介できませんでしたが、診察の際に算定するオンライン診療料の他にも、オンライン医学管理料が新設されています。アメリカでは、診察以外にも手術モニタリングや遠隔ホームケアなどで、オンライン診療の概念が取り入れられているようです。

こちらについては別途まとめる機会が持てればと思いますが、いずれにせよ、これからの診療体制や医療機関経営に「オンラインでの診療」という概念が関わってくるのは間違いなさそうで、今後の動向に注目です。

 

参照

 

 

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