Healthcare Compass (ヘルスケアコンパス)

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診療報酬改定を読む①:入院基本料の再編

こんにちは、編集部Mです。

2018年度の診療報酬改定の概要が決定し、毎日様々なニュースが出てきています。

このブログでも、2018年度改定で気になる項目を取り上げて解説していきたいと思います。

今回のテーマは、「一般病棟入院基本料の再編」です。

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一般病棟入院基本料とは?

ひとことでまとめると、「看護師の配置人数をベースとした段階別の入院基本料」のことです。

入院基本料は、看護師の人数によって算定できる点数が変化します。最も高い点数は「7対1入院基本料」と呼ばれるもので、7は患者数、1は看護師数を指します。つまり、患者7名に対して看護師が1名の病院は「7対1入院基本料」を算定できる、ということになります。

※もちろん、その他にも満たすべき要件があります。詳しくは下記の比較表をご参照ください。

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第347回 中医協「入院医療(その2)について」より抜粋

 

一般病棟入院基本料の基本的な考え方と政策的な課題点

これまでの一般病棟入院基本料の考え方は、「重症な患者を安全に診るために看護師を適切な人数で配置する必要があり、看護師を配置した対価として入院基本料を段階的に設定する」というところにあると思います。

しかし実際には、軽症な入院患者が多いが、看護師を多く雇用しているため入院基本料は高くなっている、という実態の病院もあったようです。とりわけ7対1入院基本料を算定している病院に関しては、その実情をより精査すべき、という意見が中医協でも繰り返し審議されてきました。

このような、看護配置を中心にして支払われる診療報酬は適切ではないのではないか、という議論が今回の改定につながってきています。

 

2018年度改定:急性期一般入院料とは?

そこで2018年度改定で出てきたのが、急性期一般入院料です。病棟に入院している患者の重症度を持って病院を評価し、その対価として入院基本料を段階的に設定するという仕組みです。

重要度は、A、B、Cの3つを数値化して評価されます。

A:モニタリング及び処置の有無
B:患者の状況
C:手術などの医学的状況

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 (第387回 中医協「入院医療(その11)について」より抜粋)

 

考察

今回の改定により、急性期一般入院基本料に関わる重症度及び看護師の配置数は下記のようになります。(今回は2016年度までの7 対1、10 対1の一般病棟入院基本料についてのみ取り上げています)

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※注1 急性期一般入院料1には、従来の7対1と同様の医師配置数(常勤の医師数、当該病棟の入院患者数の10%であること)が求められるようです。
※注2 「看護必要度」は、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰを指します。
※注3 平成30年2月7日付の中医協資料には、急性期一般入院料1のみ看護配置が7対1、という記載でしたので、2以下は10対1の看護配置として記載をしています。 

重症度の評価に重きを置きつつ、これまでの7対1入院基本料と10対1入院基本料が細分化されたことで、病院経営にこんな変化が出てくることが予想されます。

  • 増収を見込むことできる病院:7対1の看護師配置を実現するのが難しいが、重症な患者を受け入れている。
  • 減収の恐れがある病院:7対1の看護師配置は問題ないが、重症な患者を実はそこまで多く受け入れていない。

 

まとめ

今回の入院基本料の再編には、「各病院の機能を、構造(看護師の数)ではなくアウトカム(治療している患者の重症度)を中心に評価し、診療報酬に結び付ける」というメッセージが込められているように思います。

一方で、ケアを十分に提供するための人員体制の概念はそのまま残されています。急性期一般入院料1にはこれまで通り7対1の看護師配置が、2~6には10対1の看護師配置が施設基準となっています。

実際にこの改定の評価がなされていくのはまだまだ先の話になりそうですが、「入院基本料」という病院の収入の根幹となっている部分になりますので、今後も注目していきたいと思います。

※改定の詳細を知りたい、 第389回中医協資料の総‐1に記載されている、「一般病棟入院基本料の評価体系の見直し」(P84~88)も併せてご確認ください。 

 

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